「農業を始めたいけれど、初期費用が高そうで踏み出せない」「ネットを見ると何百万円もかかると書かれていて不安になる」――家族や親族が農業を行っておらず、完全に新規就農を目指す場合には、初期投資額がかなり大きくなってしまいがちです。
しかし結論から言うと、農業の初期費用が「高い」と言われる背景には、実際の必要額だけでなく、誤解や情報の見え方による影響が大きく関係しています。
この記事では、農業の初期費用が高いと思われがちな理由を整理し、未経験者が混同しやすいポイントや、現実的に考えるための視点をわかりやすく解説します。
農業の初期費用はなぜ「高い」と言われるのか
農業の初期費用について調べると、「数百万円」「設備投資が必要」といった情報が目に入りやすくなります。その結果、農業=お金がかかる仕事という印象が強くなりがちです。ただし、その多くは一部のケースが強調されているだけで、未経験者が必ず同じ初期費用をかける必要があるわけではありません。
農業は初期費用がかかるイメージを持たれやすい
農業は、土地・機械・施設といった「形のあるもの」を使う仕事です。そのため、どうしても初期投資の話題が目立ちやすくなります。特に未経験者は、全体像が見えないまま金額だけを見てしまい、実態以上に高く感じてしまいます。
実際より高く感じられる理由
多くの場合、初期費用の話には「生活費」や「将来の投資」が混ざっています。本来分けて考えるべき費用が一括りに語られることで、必要以上に大きな金額に見えてしまうのです。
理由① 農業機械や設備のイメージが先行している
初期費用が高いと言われる最大の理由の一つが、農業機械や設備のイメージです。
大型機械が必須だと思われがち
トラクターやコンバイン、ハウス設備など、農業には高額な機械が必要という印象があります。確かに、大規模経営では欠かせない設備ですが、未経験者が最初からすべてを揃える必要はありません。
実際は段階的な導入が可能
多くの新規就農者は、最初から大型機械を購入せず、借りる・共同利用する・中古を使うといった形でスタートしています。規模に応じて段階的に導入することで、初期費用を抑えることが可能です。
農業を始める際に、実際にどのような初期費用がかかるのかについては、
「農業の初期費用はいくら?未経験から始める5項目」で詳しく解説しています。
理由② 農地取得=購入と誤解されやすい
農地に関する誤解も、初期費用が高く見える原因です。
多くは借地スタートが一般的
未経験者が農業を始める際、農地を購入するケースは多くありません。実際には、農地を借りて始めるのが一般的です。借地であれば、購入に比べて初期費用は大きく抑えられます。
農地法と現実の就農ルート
農地は誰でも自由に購入できるものではなく、制度上も借地が現実的なスタートになります。この仕組みを知らないと、「土地代がかかる=初期費用が高い」と誤解しやすくなります。
理由③ 生活費と初期費用が混同されている
初期費用の話で特に混同されやすいのが、生活費です。
準備期間の生活費が「初期費用」に見える
農業を始めてすぐに収入が安定するとは限りません。そのため、準備期間中の生活費を含めて「初期費用」と表現されることがあります。この部分を分けて考えないと、必要以上に高額に感じてしまいます。
初期費用が高く感じられる背景には、収入が出るまでの期間も関係します。
農業収入の現実については、
「農業の収入で生活できる?未経験からのリアルな疑問」も参考にしてみて下さい。
収入が出るまでの時間軸
農業は、収入が発生するまでに時間がかかる仕事です。初期費用とは別に、生活を維持するための資金が必要になる点を理解しておくことが重要です。
理由④ 失敗例ばかりが目立ちやすい
ネット上では、農業で失敗した話が注目されやすい傾向があります。
大きく投資して失敗した話が広まりやすい
初期費用をかけてうまくいかなかった事例は、インパクトが強いため拡散されやすくなります。その結果、「農業=高額投資で失敗する」という印象が残りやすくなります。
初期費用をかけすぎて後悔してしまうケースについては、
「農業を始めて後悔しやすい人の考え方5つ」で整理しています。
小さく始めた例が表に出にくい
一方で、初期費用を抑えて少しずつ進めている人の話は、あまり目立ちません。しかし現実には、このような進め方をしている新規就農者も多く存在します。
理由⑤ 情報が断片的で全体像が見えない
初期費用が高く見える最後の理由は、情報の断片化です。
金額だけが独り歩きする構造
「○○万円かかる」という数字だけが切り取られ、その内訳や前提条件が説明されないことが多くあります。これが誤解を生む原因になります。
段階別に考える重要性
農業の初期費用は、一度にすべて必要になるものではありません。段階ごとに整理して考えることで、現実的な金額感が見えてきます。
初期費用を「高くしない」ためにできること
ここまでの理由を踏まえると、初期費用を抑えるためにできることが見えてきます。
小さく始めるという考え方
最初から理想の形を目指さず、小さく始めて必要に応じて広げていくことが、初期費用を抑える最大のポイントです。
また、近年の農業資材の高騰もあるので、「最初からすべてを揃える」「新品で購入する」といったことは可能な限り避け、初めの小規模のうちは「一部の作業を自身で行い、機械購入を抑える」、「中古で買いそろえる」といった工夫で初期投資を抑えましょう。
支援制度や既存資源の活用
研修制度や支援制度、地域の仕組みを活用することで、自己負担を減らすことも可能です。制度を知っているかどうかで、初期費用の印象は大きく変わります。もっと詳しく制度を知りたいという方は、下記の外部リンクから確認してみて下さい。
農林水産省|就農準備資金・経営開始資金(就農前後の支援) 農林水産省|初期投資支援(世代交代・経営発展支援事業) 日本政策金融公庫|青年等就農資金(融資制度) 農林水産省|補助金・助成金制度の逆引きデータベース
また、初期費用への不安を整理したうえで、次に何をすべきか知りたい方は、
「農業を始めたい人が最初にやるべき行動5つ」もあわせて確認してみてください。

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